サリーさん@sarisally1の『「おいしい」を科学して、レシピにしました。』の全レシピをつくってみました。その2(完)
こちらの記事の続き。これでほぼ完了です。
サリーさん@sarisally1の『「おいしい」を科学して、レシピにしました。』の全レシピをつくってみました。その1 - 五味研究室
(ほぼ、というのは、栗きんとんだけあまりにも材料が私の行動範囲になく、年末になったらきっと出回るのでそれを待つことにしたためです)
■お弁当においしい豚肉の生姜焼き
- 冷めてもおいしい生姜焼きを作るためのコツということなので、お弁当にしてみた。確かに美味しい。
- 逆に言うと、熱いうちに食べるなら別にこのコツを踏襲する必要はない、ということ。そのことも書いておいたほうが科学の効用ぽいと思わないか
- もっともサリーさんは猫舌だそうなので、いつも冷ましてから食べているのかもしれない
- 生姜焼きそのものとしては、もうちょっとショウガショウガしたのが好き。コショウもふったほうが好き
- コツが「○○な肉を使いましょう」ということなのだけれども、材料リストには言及がない(次のしぐれ煮では同じコツを使っていて、材料リストでも言及がある)
■牛肉のしぐれ煮
- しぐれ煮はじめてつくった。これは美味しい
- コツのところは生姜焼きと同じ。という意味では冗長ともいえるけれど美味しかったので問題にしないことにする
- 材料リストにも「○○な肉がいいよ」って書いてあるのは良い
- 卵かけごはんと超絶の相性
- しょうがヒトカケってどれくらいなのだろう?けっこうバラツキがあるように思うのだが
■きゅうりのナムル
- 写真撮り忘れた
- あっさりめな仕上がり
- ナムルの定義がよくわからないけれど普通に美味しかった
- コツはきゅうりの色を鮮やかに保つための方法
- なるほど次の日でも綺麗だった
- このコツは応用が利くのでまたやってみよう
■桜色タルタル
- この組み合わせはなかなかいいアイデア
- 色を綺麗にするのが科学のコツ
- どんなしば漬け使うかでかなり出来上がりの色が変わりそう。
- パンにのせて食べた。美味しい。
■豆腐の味噌漬け
- 初めてつくった
- ちょっと僕の好みよりは甘いかも
- 科学レシピとしては日持ち。10日後までもつ、とあったので10日後にも食べてみた。お腹は壊さなかった
- どっちかといえば赤味噌のほうが好みかな。白味噌のほうもなめらかさが際立っていいけれど
■ヴィシソワーズ
- ヴィシソワーズおいしい(笑)
- 他の人のレシピを知らないのだけれど、長ネギを材料に使い、浅葱を散らすのは特徴なのだろうか。普通はディルとか?長ネギはポロネギのかわりかな? (調べてみたら浅葱はわりとよく使われているらしいと判明。著者に訪ねてみたら著者の発案ではないとのこと)
- コツのひとつは塩加減。これは実感がある。知りたい人は読みましょう
- もうひとつは粘りを出さないようにする方法と、その理由。これも実感がある
- レシピとしては科学ポイント以外でもう一工夫あると楽しいのだけれど、まあそれはこの本の趣旨とはちょっと離れるか
■かぼちゃのポタージュ
- 確かに甘く仕上がった
- 水の使い方がポイントなのだけれど、ただ手順に書いてある通りにするのではなくて、どうしてそうするのか、何が狙いなのかを理解して調理しないと(これも書いてある)、たぶん狙い通りの効果が出ないタイプ
- 逆に、狙いが理解できていれば、手順に書いてあるとおりの分量・タイミングでなくても狙った成果が得られるはずだ
- 試食係に呼んだ学生が「こんなうまいもん初めてたべた!」と言ってがっついていた(笑
- ポタージュのレシピとしてはかなり素朴なほうだと思うのだけれど、きちんとコツを押さえれば カボチャの力でおいしくできる、といういいレシピだと思う
■鯖の味噌煮
- サバの味噌煮初めてつくった
- 生姜が効いてて美味しい
- コツはくさみとりでこれ自体はよくある方法
- 説明が平易でレシピとしてはよいのだけれど科学成分が足りない気が
■ほうれん草のおろし和え
- 大根おろしの辛みの調整がポイント
- なので辛さ違いで2種類用意して食べ比べてみた
- 大根おろしだけ食べるなら辛さはひかえめのほうが好き
- ホウレンソウと合わせると今度は辛いほうがいい
■イタリアン肉味噌
- イタリアン要素少なくないか・・・
- 玉ねぎの甘みを引き出す方法がコツ。これはうまくいったぽい
- ただ使った味噌がもともと割と甘いのだったのでそこまで自信はない
- ごはん、パン、パスタなど色んなものと食べられるので便利
- 違う種類の味噌でもつくってみたい
■大根と油揚げの煮物
- 大根によく火を通す方法がコツ
- これは応用が効くのでとてもいいと思う
- 美味しく煮あがった
- 僕の好みではもうすこし甘さを控えたほうが好き
■サーモンのミルクパスタ
- ミルクの優しい感じと鮭の魚味とのバランスがいい
- ホワイトソースよりもさらっと軽い感じなので、煮詰める時間によってかなり違う仕上がりになるはず
- このレシピのコツは臭みとり。うまくいったぽい(もともと魚の臭みあんまり気にならないのでアレだけど)
■塩鮭と白菜の蒸し煮
- 電子レンジ調理のコツ。基本だけれどさぼりがち。
- ちゃんとやるとちゃんと美味しく蒸し上がる
- 塩が足りないかと思ったけどそうでもなかった
- 器の形によってもう一工夫する余地がありそう
■コンソメなしで本格ポトフ
- 具が大きいときの煮物のコツ。ちゃんとやろう
- これも優しい味に仕上がる
- スープが美味しいと思ったらこれブイヨンそのものだ
- 煮崩さないポイントも書いてある。これも大事
■ミネストローネ
- 小さな具を煮崩さないコツ。ちょっと我慢がいる
- 化学のコツが多い中では珍しく物理系
- 普段はトマトを入れないのでそこが新鮮だった
- 個人的にはもっとしっかり炒めたのが好きかな
■トマトとワカメの酢の物
- もの自体はふつうの酢の物。食事のなかでいつ食べるかが大事
- ということなので、書いてあるとおりのタイミングで食べてみた。分かるような分からないような(笑
- ワイン飲みはシャンパーニュにこの役割をさせている
■生姜の炊き込みご飯
- 新生姜だったからか、もっと生姜ぽくなるかと期待してたけど思ったよりおとなしい
- 吸水のコツ。まあこれはよくきく話
- だけれど初心者は基本として押さえておくといい
- どうしてそうするのか、が分かるとちゃんとそれをやろうと思うので失敗しづらくなるはずだ
■みかんのワインコンポート
- 普通に美味しい。赤ワインのほうが好み
- コツはこういうものを美味しく食べるための温度
- これを理解しているとかなり応用が効く
- このレシピならうんと冷やしたくらいが私の好み
■だし汁なしでもおいしく!カレー肉じゃが
- すごく久しぶりに肉じゃがつくった
- この素材組み合わせは、理論と応用、のいい例だと思う
- 別のところで見つけた組み合わせの良さの理由から、ほかのところでもこうすればいいはず、を見つけるという話
- ただ人参が堅めに仕上がってしまった
■だしがらふりかけのお茶漬け
- 甘い仕上がり。
- 出汁の取り方の基本がコツ。コツ自体は有名。ただそれが「なぜか」を知ることで意識的に調整が出来るし、失敗したときの原因追及も簡単になる
- それが料理の科学を理解することのメリット、という意味では有益だが、ただコツそのものが普通すぎて地味ではある
以上、残りは栗きんとんなのですが、ひとまずここまでで一旦掲出することにします。
最後にコメントを。
まずは、レシピ本として。
これは料理初心者向きではないと思います。手順の説明はそれほど親切ではないので。ですが、ほんとのベテランさんにはそれほど興味をひかれないでしょう。ある程度つくれるけれどもイマイチ上手につくれない、という人向けかな、とは思います。自炊はじめて半年から2年くらいの人にとって一番有用かなという気がします。
全体的に普通っぽい料理を選んだのはそのためだろうと思います。ものすごく工夫したレシピとかではないし、凝った料理もほとんどありません。もちろん中にはおそらくなら著者ならではのアイデア料理もありますが、どちらかというと日常の食事を「普通に美味しく」つくるためのレシピ本だと思います。コンスタントに80点をとりつづけるような感じですね。
次に、読み物として。
この本はあくまでレシピ本。科学本ではありません。「科学のコツも書いてある料理レシピ」であって、「科学知識のネタに料理をとりあげた本」ではなく、美味しくつくるためのレシピ、そのためのコツ、です。なので、「科学」を名乗っているからといってレシピが難しいということは全然ありません。なんなら科学面のことをまったく読まなくても普通に美味しく作れます。もちろん、読んだほうが原理が分かってコツが身に着き、応用が効くので読んだ方がいいと思いますけどね。
逆にいうと、科学の視点から読み応えのあるものを期待するべきではなく、ある程度以上の科学(特に化学)知識のある人にとっては科学面の取り上げ方は物足りないはずです。料理をしないけれど科学読み物が好きな人のための本ではない、ということです。
おしまいに。
これまでに買ったレシピ本のうち、そのほとんどを作ったものは一冊だけあるのですが、全部つくったというのは今回が初めてです。著者が知人で宣伝を頼まれたので、しかしレシピ本を宣伝するにはそのレシピをつくってみないと評価できないので、という理由。これだけたくさんつくってみると、だんだんその著者の好み、得意技、手の内、料理観などが見えてきて楽しかったですし、その技のいくぶんかは身に着きます。他のレシピ本でもこれというのが見つかったらまたやってみようと思います。