1枚の写真から分かるプレゼンテーションのコツ(自画自賛)

先日、タイのコンケンという町でワークショップに参加し、30分頂いて発表をしてきました。そのときの写真を参考に、口頭発表の注意事項的なものの中から意識的にしていたことを振り返ります。

 

なお、学術プレゼン全般については加納先生の素晴らしい記事(こちら と こちら)がありますので、ここでは全般的なプレゼン指南を目指さず、たまたま私が気を付けていたことの紹介をしますね。

 

さて、こちらがその写真。

f:id:keigomi29:20130626215354j:plain

この写真からだけでも下記のようなことが分かります。

 

・服装はダークスーツに白シャツ、ネクタイ

・演台や机・椅子が用意されているがその横に立っている。

・マイクスタンドは使わず手に持っている

・すぐ届くところにノートPCを置いている

・タイトルスライドを映しながら何か喋っている

・視線は会場の数列目に向いている

・左腕を広げている。手のひらを見せている

・マイク以外には持ち物がない

・スライドの名前は姓・名の順

 

では順に行きましょう。

 

1.服装

基本的にはスーツスタイルにしています。多くの場合、きちんとした人のように見え、その場への敬意が伝わりやすいと思うからです。最近はネクタイは青系が多いです。(色には深い理由はなくて、オバマ米国大統領が最近は青系をよく使っているので多分これがスピーチする人のネクタイ色の流行りなのだろうと思っただけです 笑)

服装は必ず「こうでなくてはならない」というものではありませんし、その場によって相応しい服装は異なるでしょう。例えばもしも私がこの季節(6月下旬です)に日本の環境省主催の場所で発表するとしたら、ジャケットは着ずにボタンダウンのクレリックシャツで袖を7~5分程度まで巻き上げ、パンツはもう少し明るい色のものにするでしょう。もしも発表先が物理学者の集まりでしたらさらに砕けた格好にすると思います。

 

2.位置取り

可能な限り、演台(上の写真では右端にあります)や机の後ろではなく、全身を聴衆に晒すことの出来る場所へ立つことにしています。このほうが私の話す言葉への注目が集めやすく、聴衆との距離が近くなり、コミュニケーションがとりやすいからです。ボディランゲージもよく見えます。特に机の向こうに置かれた椅子に座ってしまうとよくありません。顔の位置が低くなって後ろのお客さんからは見えず(この会場では)、また手元にあるPCを覗き込んでしまうような姿勢になりがちです。

歩き回ることが出来る空間を確保することで、スライドへの注目を集めたいときはスライドに寄り、スライドから離れて話に注目してほしいときにはスライドから離れる方向に歩き、特に強くメッセージを伝えたいときには聴衆の間へ移動することもできます。

 

3.マイク

この位置取りならば必然的ですが、マイクスタンドは使いません。スタンドに縛られると動けませんので。なお、会場の設備上の問題で今回はマイクを手持ちにしましたが、可能なときにはピンマイクを使って両手をフリーにします。

 

4.PCの場所

自分で操作します。会場係の人がやってくれるときもありますが、毎回「次お願いします」とか言うのはうっとおしいですし、発表上効果的でもありません。そのため手の届きやすい場所に置きます。催しの段取り上、可能なときには自分のPCを繋がせてもらいます。離れたところからスライドを操作できるデバイスもありますが、私は使っていません。PCと立つ場所がどうしても離れてしまう場合にはワイヤレスマウスで操作することもありますが。

 

5.導入の言葉

タイトルスライドを映しながら喋っている、ということは、これは冒頭だと分かります。始まってからすぐにはページをめくらず、ツカミの話をしているところです。今回の発表は完全アウエーだったので、自分はどういう者でどういう仕事をしてきて、今日の発表ではこういうことを紹介する、というようなことをなるべく堅苦しくなく紹介し、聴衆との距離を近づける努力をします。ここで軽く笑いがとれるとなおよいです(今回は成功しました)。主催者への感謝の言葉も(言う場合には)このときに言いますね。もちろん状況が違えば導入の言葉の必要性や内容は変わります。

 

6.視線

発表中、なるべくまんべんなく、色々な場所に座っているお客さんと目を合わすようにしています。たまたまこの瞬間は会場の真ん中あたりの列を見ていますね。目を合わせているかどうかはちょっと分かりませんが。後ろのほうや最前列にも視線は移します。あまりキョロキョロするのは変なので区切り毎に見る場所を変えます。

発表中に聴衆の反応を観察するのは大事です。理解、共感、関心、知識、異論などについて、フィードバックを得ることが出来ますから、それに応じて話し方や強調ポイントを調整できます。

 

7.腕の振り

なるべく「開いた」姿勢のほうが自信ありげで説得力があるように見えるそうです。背筋を適度に伸ばし、胸を軽く張り、空いている腕を広げ、手のひらを開いて上に向け、顔を上げると開いた姿勢になります。ずっとこの恰好でいるわけではありませんが、基本的にはそういう姿勢でいることが多いです。せっかくなのでもう一枚。

f:id:keigomi29:20130626215457j:plain

(この写真、顔がむくんでて私じゃないみたいで実はイヤ)

(体重が右脚によってますね。あんまりフラフラするとカッコ悪い)

 

8.持ち物

よくポインターを使うことがありますが、最近はあまり好まなくなりました。小さな赤や緑の輝点ってそんなに見やすくないと思うのですよ。なのでポインタがいらないようにスライドをつくるようにします。どうしても必要になってしまったときにはマウスを使います。

 

9.姓名の順序

これは微妙といえば微妙な問題なのですが、指定のない場合、なるべく姓・名の順序で名乗るようにしています。私はゴミケイさんなのであって、ケイゴミさんではないので。もっとも指定がある場合にはそれに従います。

微妙な点として、受け取る側からは私が西洋式の順序で書いているのか日本式なのかわからない、というのはその通りなのですが、今のところこれで問題になったことはありません。なお、聴衆に漢字を読める人が多い場合には漢字で書いた名前も併記することが多いです。

 

他、このときに特に意識的にしたことは「なるべく簡単な英語でゆっくり喋る」こと。この会はタイの地方都市で、聴衆の多くはこの地域の公務員の方。同時通訳はありましたがそれまでの発表で通訳の能力に若干疑問があったこと、また、聴衆の方々もある程度の英語力はあるようですが(通訳聴いていない人もけっこういましたから)、こちらも自分の英語にそれほど自信がないこと、さらにモデリングの専門家でない人達なので聞きなれない話である可能性が高いことを考慮して、です。

 

もちろん他にも沢山の気を付ける点がありますし、また今回の発表でも振り返って反省点は沢山あります。が、撮ってもらった写真をみてこの写真だけからでも色々ポイントがうかがえるなぁ思ったのでその点だけかいつまんで取り上げました。

プレゼン全般については、再度の紹介になりますが、加納先生の記事をどうぞ。(こちら と こちら)