サリーさん@sarisally1の『「おいしい」を科学して、レシピにしました。』の全レシピをつくってみました。その1
先日、新進料理研究家のサリーさんから著書の献本を頂きまして(ありがとうございます)、同時に宣伝せよとのお達しを受けました。このレシピ本の売りは「科学のコツで料理をおいしくする」ということで、著者と同じく科学と料理の両方を愛する私としてはとても面白く読みました。
しかし。
レシピ本であるからには、つくって食べてみないとそのレシピを評価することは出来ません。だってレシピ本って読者が料理をつくるためのものだから。というわけで、順番に全部の料理をつくってみることにしました。おおよそ半分まで来たので、第一弾として写真と感想をUPします。
下記のポイントから感想を書きます。
- 科学の「コツ」が出来上がった料理から感じられるか
- そもそも料理として美味しいか
- 私の好みと比べてどうか(読者というのはわがままなものなのです)
では参りましょう。
■しっとりポークソテー
- 確かにしっとり
- ふわっとした感じの焼き上がり
- そのぶん香ばしさや歯ごたえには欠ける
- ソースは結構甘い。照り焼きみたいな
■鶏肉のマーマレードソテー
- コツはマーマレードと鶏肉の組み合わせで柔らかく仕上がる、ということ。
- 確かにやわらかい。簡単に噛み切れる
- 優しい味。
- ソースをかけて仕上げるので皮は柔らかめ
- お弁当にしてみた。本当にニコゴリになってて便利だった
■一夜漬けピクルス
- ちゃんとパリパリに仕上がった
- ここの科学のコツは塩の種類なのだけど、もともとそういう塩しか使わないので実験してみないと分からないや
- そもそもピクルスつくったの初めてで、パリパリに仕上がったのがレシピの効果なのかは分からない
- ほぼ24時間で食べてみたところ、そんなに酸っぱくない
- やっぱりこれも優しい味
■カルボナーラ
- ここは塩の使い方がコツ。塩加減はちょうどよかった。なるほど。
- このレシピだとソースがかたまりやすい(本の写真からもうかがえる)
- 個人的にはもっと生っぽく仕上げたほうが好き
- もっとも、温度管理は微妙なところですごく変わるので、レシピのせいとばかりは言えない
- もうちょっとフライパン冷ましてから混ぜるべきだったかも。
■スペイン風オムレツ
- しょっぱい(笑)
- この本の中では珍しく尖った味つけ(が、狙いだそうなので)
- 確かに白ワインとよく合う
- 油で煮る調理は慣れないけどなんとか
- ひっくり返すのがちょっとだけ大変(それこそ科学の何かで上手にひっくり返す一般的なコツを教えて欲しい。サリーさんは確か物理も得意だったはずだ)
■塩だれ炒め
- 思ったよりしょっぱくなかった
- レモン使うけど酸っぱくもなかった
- 豚肉のほぐし方のコツがあってなるほどその通り
- 炒めものは投入する順番とタイミングが大事なので(書いてある通りにしたらうまくいくけど)、これも科学ほにゃららで説明してもらえるといいな
■キャベツのアーリオ・アーリオ
- 「普通に美味しい」パスタ
- あんまりトウガラシ味にならないレシピ
- キャベツの加熱時間はもうちょっと長いほうが好み
- 味のバランスが丸い
- ここのコツ(そのまんまなので内緒)は知ってた
■西京味噌バター
- シンプルに美味しい
- 足し算の原理がよくわかる
- 日本酒に合いそう
- パンにもご飯にも合う
- もしも自分がお店をもったらツキダシにしよう
■キノコのアーリオ・アーリオ
- 確かにダシの競演になる
- キノコの味をここまで前面に出したパスタのレシピは珍しいような
- キノコが好きな人にはばっちり
- この本の科学コツの中でも、ダシ成分の組み合わせは特に便利な知識。覚えておくべき
■枝豆とジャガイモのポタージュ
- ジャガイモ一個って書いてあったけど大きさがわからぬ(直接訪ねてみたけど「あとで調べる」待ち 笑)
- ちょっと大きかったかも。妙にイモイモした仕上がりになった
- このレシピの科学のコツは枝豆の色の活かし方で、その点はばっちり。写真のとおりきれいな緑。
- 枝豆はなかなか面白い素材なのでこのコツは役に立ちそうだ
■ベシャメルソース&グラタン
- ベシャメルソースは気持ち固め(レシピのせいだけとはいえないけど)
- ごく普通の作り方で、いわゆる「アイデア系ホワイトソース」ではない
- 基本の作り方がどうしてそうしなければいけないのか、がポイント
- コツを押さえて丁寧に作業すると上手にできるみたいだ
- グラタンは「普通においしい」
- (余談ですが今日まで「ペシャメル」だと思ってました。「ベシャメル」が正しいらしい。ペシャメルのほうが美味しそうなのに)
■コールスローサラダ
- ビタミンCがポイントのレシピなんだけどさすがにそれは分からない
- やさしい味
- この分量だとあんまり酸っぱくならないので食べやすいかも
- 美味しいですよ
- 久しぶりにマヨネーズ使った
■ミニトマトのイタリアン味噌スープ
- これまたダシの大競演
- すごくまろやかに仕上がった
- これは美味しい。またつくろう。
- いわゆる「だし」「スープの素」は使わないけど素材がみんなダシのもとみたいな
- きのこがポイントのようだ
- 味噌と合わせるアイデアはとてもいいと思う
■トマトチーズ飯
- シンプルだけと美味しい
- トマトとチーズの組み合わせだから美味しいのは当たり前だけど
- ごはんに乗せたのはいいアイデアだと思う
- トマトでなくミニトマト、というのも大事かも
- トマトだともっとぐちゃぐちゃになりそうだし
- ところでこのレシピは「とまとちーずめし」と読むのだろうか。「とまとちーずごはん」にしたほうがかわいくはないだろうか。
(こんな感じでコールスローと朝ご飯にしました)
■鶏そぼろ
- あまっ(笑)
- そもそも料理に砂糖使わないので慣れない感じ
- とはいってもこれくらい甘いそぼろはよくある
- 確かに冷めてもぱさつかない
- コツのところには「そぼろにはXXXXがあう」と書いてあるのに、レシピそのものにはXXXXではなくYYYYを使っているのは、ちょっとどうかと思ったぞ >著者
- 原理を理解すれば(原理は説明されているのでOK)分かるのだけれど、せめて「XXXXと同じZZZZの含まれているYYYYでもOK」とか書いてほしかったぞ >著者
■お吸い物
- 鶏そぼろと同じページにあったのでつくったけど
- 特に科学のコツにも言及されてないし、新しいアイデアがあるわけでもないようだし
- いや、普通に美味しかったからいいけれど、ちょっとハテナ。
- 鶏そぼろのせごはんとの相性になにか秘訣があるのだろうか
- これもやっぱり丸い味。あ、美味しいよ。
- このレシピのコツは野菜を入れる順番
- 野菜それぞれの「ここを活かしたい」がよくわかる手順
- その通りにやればちゃんと活きる
- 特にパプリカの使い方は応用が効くので素晴らしい
- さらっと仕上げる日本人向けの仕上がり
- 個人的にはクタクタになるまで煮たのが好き
■マーボー茄子そうめん
- マーボーほにゃららを初めてつくった(中華あんまり作らないので)
- なのでこれまたはじめてトウバンジャンとテンメンジャンとラー油を買った
- ちゃんとマーボになってて嬉しい
- このレシピは茄子の前処理がポイント
- それはうまくいったようでばっちり。上掲写真からもわかるはず(読んだ人は)。この「コツ」はこのレシピ本の中でもいちばんありがたい。これまでのところ。(知りたい方は本を買いましょう)
- ただ、そうめんとマーボー茄子の組み合わせは食べづらい。口の中に入れるまでがちょっと苦労する。うまくからまなくて。入れたらおいしいけど。
以上、感想第一弾でした。
ここまでつくってみて全体としては、丸くて優しい味に仕上がるものが多い、というのがまずひとつ。私の好みでは、次につくるとしたら少しバランスを変えたり香辛料を追加したりするかな、と思うものが多いです。
もうひとつは、原理が分かると応用が効く、というのが科学だなー、と。いや、当たり前なんですけど、ね。その意味では出汁の足し算、茄子の下ごしらえ、パプリカの使い方、枝豆のタイミング、なんかは「原理と応用」の関係が明確、かつ応用の幅が広いので素晴らしいと思います。
おそらく一か月以内に残りのレシピもつくれると思うので、そしたら第二弾書きますね。